セーラー服 Sailor Chic

私の小学校も中学校も、田舎なので制服がなかった。セーラー服を着た街の子供を羨ましく思ったものでしたが、高校で着なければならなくなって、やっと制服というものはきゅうくつな物で、好きな服を着ていけたのは良かったのだなと理解したのでした。それにしても、昨年夏に国立海事博物館 National Maritime Museum の「セーラー・シック」という展覧会で、あのセーラー服とヴィクトリア女王と関係があるのを知って楽しくなりました。上の勲章がいっぱいの服は1805年、トラファルガーの戦いで戦死したネルソン提督が着ていたもの。肩には弾の痕が見える。
イギリスが、昔、大英帝国と呼ばれたのも海軍の力が大きく、国民にとっても尊敬するものでした。その海軍のイメージは、忠誠、服従、勇気のシンボルですが、イメージとしては航海に伴うロマンチックな自由の精神や独立心、それから派生する反逆者のイメージまで内包していて、それらが現代に至るまでのファッションにおおいに影響を与えているのです。


4歳の皇太子で後のエドワード7世。1846年に作られた実物と、ちゃんと絵が残ってるのがおもしろい。
さて、そんな海軍の服ですが、始めてファッションとしてデザインを応用したのがヴィクトリア女王です。
皇太子の為に、ロイヤル・ヨットの船員の制服を子供服にアレンジさせて作ったのですが、これが大流行となり、特に愛国的な面も刺激して、海軍のイメージを入れた男女子のデザインが次々生まれました。これの影響が、我が日本の学校制服まで来ているわけです。
紺色と白のコンビネーションは18世紀の王の愛人の好きなドレスから決められたそうです。海軍と言っても色々の階級とか行き先とかによって異なる服装になるのですが、特に戦後、余った軍隊の制服が街の店頭で安く売りさばかれていった時に、又おもしろく展開します。

これはエレガントな女優ベッテイ・デービス。1935年撮影
北極へ行く船員はダッフル・コートと、とっくり襟のセーターを着ていたそうですが、フランスの芸術家、ジャン・コクトーが、これを着ていたところ、学生や芸術家の間で流行り、水兵の被るベレー坊は女性にはやり、ダブル・ブレストに金ボタンのブレザーや、コートが永遠のスタイルとなって世界中で着られているし、裾広がりで、前ボタンのズボンも、この夏私もバーゲンで買ったし、海軍ばかりではなく海賊ファッションとしてはビビアン・ウエストウッドも取り入れ、ゴルチェがいつも来ている横縞のシャツも、シャネルが海辺で着ていて、ピカソも愛用していたし、元々は漁師が着ていたのを海軍が取り入れたもので、毎年夏になるとこの姿の人を見ます。(私もそのひとり!)
ビートルズのサージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・ハーツ・バンドの彼らの衣装も海兵隊軍曹みたいだし、1980年代のアダム・アーントも昔の海軍軍曹みたいな、ゆったりしたシャツに金ボタンがびっしりついたフロック・コートに化粧をして、ゴシック風のロマンチックな感じを出していましたね。

昨年夏の展覧会ですぐに書きたかった話題でしたが、ひと夏越してしまいました。マリーン・ルックは色が紺と白で日本の藍染の布を想像させるし、特に麻や木綿という乾いた感じが涼しげなので、夏に特に恋しくなりますね。




