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コートールド美術館  The Coutauld Gallery

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コートールド美術館は、サマーセット・ハウスという18世紀の建物の中にあるロンドン大学付属美術館です。とてもエレガントな螺旋階段を期待を込めて登ってゆきます。上の版画は、この建物が王立美術協会の年次展覧会の会場に使われていた1790年頃の混雑を面白く描いたものですが、その当時はターナーやコンスタブルも出品して競っていたことでしょう。今も沢山の人が絵を楽しんだり、学んだりしに来ていて賑わってます。私が訪れた日は子供たちが床に座り込んで、絵の説明を聞いていましたが、主題がきわどいものでもガイドは慣れたもので上手に子供たちに解説していていました。

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ロンドンの数ある美術館の中では比較的新しいもので、1932年開館です。政界で活躍していたリー子爵が学生が美術の歴史的資料が身近にあることが美術史、修理保全、又技術の教育に必要と、彼の収集美術品と大金を寄付し、考えを同じくするコートールド氏が繊維産業(特にレーヨン)で成功し、当時未だイギリスでは高く評価されていなかった印象派とその時代の絵画を集めた絵画コレクションに、奥さんが亡くなった後のポートマン・スクエアにある自宅もそっくり寄付して、その家を、翌年の1932年にロンドン大学の付属美術館として発足したものです。その後の寄付も増えて、この家では狭くなり、現在地に引っ越してきたのは2002年です。

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サマーセット・ハウスの中庭。冬はスケート・リンクになりますが、街の中とは異次元の感じの静けさ。

さて、この美術館には、中世から最近までの絵画が展示してありますが、こじんまりとしていて、落ち着いて楽しめます。サミュエル・コートールド氏は、1920年代の英国ではあまり高く評価されていなかった印象派作品や英国一の質の高さを誇るセザンヌ、ゴーギャン、マネやゴッホ等、フランス一九世紀後期のもの、又フォーブの作品も多数あるのが特徴でしょう。私の好きな作品を紹介させていただきます。


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Paul Cezanne "Montagne Saint-Victoire" c.1887

これはセザンヌ作「セント・ヴィクトアール山」です。この山は、彼の生まれた時から見慣れた山で、何度も描いていますが、この絵は地中海らしい松が風になびいているのを前に描き、劇場の舞台の緞帳を上げたような効果です。山が主役となって、裾野の木々や畑や家、できたばかりのような鉄橋も、空も含めて、完成させているのですが、細部を見るとキャンバスを下塗りした白が沢山見えて、それが、空気がたっぷりのような感じで、気持ちの良い絵で、大好きな絵です。全体にピンクっぽいオレンジ色が散らばっているので、暖かい感じもします。


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Edouard Manet "A Bar at the Folies-Bergere" 1881-82 (部分)

マネ晩年の「フォリ・ベルジェ劇場のバーにて」です。これは部分ですが、黒は自然界に存在しないとして、絵の具として使わない印象派と違って、スペイン絵画を尊敬していたマネの黒は、彼のどの絵を見ても魅力的に使っています。それにしても、このウエイトレスのうつろな眼差しは、悲しいような、感情が無くなってしまった人間のようでもありますね。現代生活を古典様式で描くのがマネのスタイルです。


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Edgar Degas "After the Bath, Woman Drying Herself" 1889-95

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ドガ「入浴後、体を拭く女性」。パステルで一色塗る度に定着剤を吹きかけるので色は混ざらず、、色は各々層となって重なるという方法で何枚も描いた入浴や、体を拭く女性の絵。このテーマは、猫が自分の毛を舐めているように、女性が無心で行う動作であるという点で、ドガの尽きない興味だったそうです。彼は、自然の動きの人体に関心があって、棒きれ、粘土やワックス、時にはワイン・コルクに澱粉まで使って、人体像を作り研究していたのですが、死後デイーラーが150体見つけて、そのうちのブロンズにしたものも展示してあり、ドガ本人もびっくりでしょうね。


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Vincent van Goch "Self-Portrait with Bandaged Ear" 1889

最後は、12月にゴーギャンと喧嘩して自分で耳を切った翌年1月の、ゴッホの包帯を巻いた自画像です。太陽の光の下での、一切の感情を取り払った自画像で、この絵と向き合うと、ゴッホが大好きな私は悲しくなります。きっと帽子や服の輪郭の黒が強いのに、顔の絵の具の色が弱々しく、後ろの制作中のキャンバスが消えゆくようで、憧れの日本の象徴である浮世絵が夢の一場面のように、よりはっきり描いている目の傍にあり、ゴッホが冷静に描かれていても、実は心で悲痛な気持ちで叫んでいるように感じるのです。しかし、さすがそんなときでも画家の絵です。近くで見るとパレットの色が全体に使われているので、統一感があります。例えば、ドアの窓の青はコートに、壁のエメラルド・グリーンは顔や包帯の顎の部分、画架のベージュはコートの間から見える服に・・・という具合です。


数々の心に働きかける絵がありますのでおすすめします。
コートールド美術館の案内はwww.coutauld.ac.uk をご覧ください。

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コメント (2)

コートルード美術館に是非行って見たいです。ゆみさんの絵の解説に感動しました。特にゴッホ自画像の解説を見ていて、ゆみの優しい人間性は深くて優しくて、到底並みの人間には真似が出来ないなーって・・・・感動したんです。数日は胸の奥深くがジーンと熱かったですよ!私はゆみの本質を本当には知っていなかったのではないかしら・・・・。

久しぶりに、由美ちゃんの絶好調な解説で非常に満足しています。有名な作家の絵がたくさんあって良い美術館ですね。セザンヌの松は日本の景色を想像さすようだし、マネの女性はうつろな目がとても魅惑的です。
 ゴッホの自画像は厳しいものがありますね、時間では解決出来ないような感じんがね。これからも美術館どんどん紹介してください。楽しみにしています

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2008年10月19日 15:52に投稿されたエントリーのページです。

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