
この絵は、ヴァン・ダイクが1633年に描いたデイグビー夫人、ベネチア・スタンレーの死顔です。彼女は美しく、若い詩人、科学者でもある貴族のデイグビーはすっかり身分違いなのに彼女に恋して、家族の反対を押し切って結婚し、4人の息子も生まれ、幸せの真っ最中だった33歳の時、就寝中に亡くなりました。悲しんだ夫は、当時最高の画家であったヴァン・ダイクに死後2日目に描かせたのがこの絵です。
画家は、黒いカーテンに白い夜着で引き立たせ、死人の頬に少し赤みをもたせ、真珠のネックレスをつけ、ばらが咲いている最中の花びらを散らせ、美しさの最中に死んだヴェネチアを正直に描いています。
この絵はダリッチ美術館にあり、彼女の生前の肖像画は、国立肖像画美術館 National Portrait Gallery にあります。実は6月終わりに、私の母も眠っている最中に亡くなりました。彼女は83歳でしたが、たいへんきれいな死顔でした。母を想いつつこの絵を紹介させていただきます。

コメント (1)
稲垣さん、ご身内のご不幸をさらりと表現されることに感動しました。このような絵をご存知(僕が知らないだけかも…)だという、知識の豊富さもありますね。今度、機会があれば一度見たいと思います。てっきり、夏休みかな、と思っていて失礼しました。お母様のご冥福をお祈りします。
投稿者: k.yoshimura | 2007年07月13日 23:41